オイスターズ第7回公演 『流される』



【作・演出】
平塚直隆

【出演】
 中尾達也 山田マキオ 河村梓 田内康介 新美要次 伊藤寛隆 吉田愛 平塚直隆
                 


【スタッフ】舞台監督:柴田頼克(電光石火一発座) 照明:今津知也(オレンヂスタ) 音響:田内康介 音楽:青井美都・河村梓 音響オペ:覚前遥(少年ボーイズ)
       
小道具:アトリエTOUCH 宣伝美術:奥田マニファクチュア 票券管理:吉田愛 スチール:新井亮 ビデオ撮影:村崎哲也(muvin) 
       受付:上林小夏・青井美都 受付協力:大谷真央・波多野有紀・浅倉由莉・向原パール・寺澤摩純・木村未来 
       劇団スタッフ:古川聖二 企画制作:オイスターズ

これは四年前に書いた本。
あれはまだジ・オイスターズだった頃、あの時のメンバーだったら絶対にやっておきたい作品でした。

傑作だと思った。
自信満々でとある戯曲賞に出したらすこぶる評価が低いので愕然とした。
納得いかないのであっちにもこっちにも出したけど同様の結果で、
これは完全に置いていかれてると思ってしばらく書けなくなった。

改めて読み返してみても会話は面白い。
でもなんというか論点が普通。
今ならもっとトキントキンにして今度こそ胸を張って「これは先を走っているのです!」と言いたいです。

自分の事なのにどこか他人事な螺子工場の人達が、
キャンプ場まで流されて行くという変なお話なんですが、
今までと違う点を一つ宣言しておきますと、

「会話に全力を傾けてきた僕が、今回は物語をドラマティックに仕上げます!」

これでもう後戻りは出来ません…。

アフタートークイベント 

【ゲスト】 柴 幸男 (ままごと主宰)

それにしても「とろろ」は面白かった。
今年2月の劇王Zで平塚さんが作・演出、出演までした芝居です。
その戯曲と演出に僕は大いに笑い、感動しました。
出演に関しては特に何も思いませんでした。
「論理と論理がぶつかり合い、すれ違い続けて、ワケがワカラナイ状況になる」。
僕は不条理劇をそう定義しています。
この「論理と論理のぶつかり合い」これが難しい。
大抵、どちらかの言い分が苦しくなってきます。
そして、力まかせになる。
短絡的なギャグでごまかしてしまう。
でも、それではダメなのです。
どちらの言い分にも説得力がないと劇にならない、笑えない。
不条理劇を書く作家はそこを知恵と圧倒的なセンスで乗り越えるしかありません。
だから、正統な不条理劇(あくまで僕が考えるですけど)を書いている人はとても少ないです。
僕もいつかそんな劇を書きたいと思いつつ、その難しさに怯えてなかなか手を出せません。
でも平塚さんは驚くべきことにそんな不条理劇ばっかり書いているのです。
よっぽど勇気があるのか、何も考えていないのかのどちらかだと思います。
でも、僕はこの現代の日本であえて「不条理劇を書く」というその一点で、
平塚さんのことを尊敬しているのです。
ちなみに、不条理劇を観るのは決してむずかしいことではありません。
難しいのはあくまで作家の話。
それが「良く出来た劇」なら、笑っているうちに私たちは見たこともないような場所にいけるはずです。

                                                   柴 幸男 (劇作家・演出家・ままごと主宰)


千種文化小劇場芸術公演

2010年6月24〜26日  
千種文化小劇場

主催:オイスターズ・(財)名古屋市文化振興事業団

◆ 舞台写真 ◆


『津田沼螺子株式会社の歌』

作詞:平塚直隆/作曲:青井美都/編曲:河村梓

会社帰り バスに乗って 窓の外を見る
いつもの景色の中に いくつものね じまんがある
歩道橋を支えるところ ガードレールの足のところ
あのでっかいビルの柱と床のところだって
大事なところにはいつもいるんだね じーっとしてさ
僕らはアレを作ってるんだ 一番大事なところをつなげてるんだ
街中 大事なところを僕らは作ってる
だから明日も頑張ろう 朝8時に出社しよう 津田沼螺子株式会社〜

雨の日も 暑い夏の日も 負けないでいる
辛い時悲しい時 空を見れば 飛行機が飛ぶ
見えないくらい小さいもの 
どうやって締めるのかわからないくらい大きなものまで
いろんな形で頑張ってるんだね じーっと黙って
僕らはアレを作ってるんだ 大事なところをつなげてるんだ
世界中 大事なところを僕らは作ってる
だから僕も頑張ろう 夕方5時まで見守ろう 津田沼螺子株式会社〜

ゆっくり回ってると進んでないように見えるけど 確実に締まってるんだ
まるで僕らの生きる道みたいだね じいちゃん
それと力一杯締めすぎたり合わない工具を使わないでよ バカになっちゃうから
いつまでもぐるぐる回っちゃうからね ジ・エンド